染色体・DNA・RNA

ゲノムインプリンティング異常症とは?

エピジェネティクスは様々な因子の影響を受け、環境による影響も多大に受けていることは以前お話しました。
特に、古代から現代までの地球環境は大きく変化しており、俗に言う環境破壊も進んできています。

 

環境破壊や生態系への影響を与えている物質のひとつが、内分泌かく乱物質や環境ホルモンと言われる物質です。この物質は、体内に存在するホルモンに似た作用をもつことで様々な影響を及ぼすとされています。

 

特に、内分泌かく乱物質による雄の雌化は深刻です。
女性化することで生じる懸念事項は多々ありますが、代表的なものが男性器の縮小や精子の減少・消失になります。
その他、性欲の減退などにも関わっているとも考えられていますが、まだまだ研究が必要な分野です。

 
 

女性化とは話が異なりますが、ART実施に際しては自然妊娠と違う過程を踏むことが多いので、ゲノムインプリンティング異常症の発生頻度が高まるという報告もあります。
マウスにおいては、妊娠中の発育遅延や習慣性流産もこれが要因とされているのです。

 
ゲノム2
 

ARTが引き起こすとされているゲノムインプリンティング異常症はいくつかあるのですが、そのどれもが重篤な症状をに至る可能性があり、さらには治療法が確立していないものが多いことも特徴です。
そのため、難病として扱われることが多く、国をあげて調査や治療法の確立を模索しているのです。

 

具体的には、次のような疾患があります。

 

・Angelman症候群(AS:アンジェルマン症候群)
重度の発達障害や痙攣、失調性歩行、小頭症が特徴。
難治性てんかんや心合併症などを併発することもある。

 

・Silver-Russell症候群(SRS:シルバーラッセル症候群)
子宮内発育遅延や重度の成長障害、身体左右非対象などの広い範囲での症状を表すのが特徴。
胃腸障害や嚥下障害など胃腸に関連する合併症も多い。
根本的な治療法はみつかっていない。

 

・Transient Neonatal Diabetes Mellitus(TNDM:新生児一過性糖尿病)
産後すぐに高血糖の状態となり、インスリン治療が必要となる。
また血糖が高いので、新生児仮死になったり低カルシウム症がみられることもある。
後々、自然治癒せずにインスリン依存性糖尿病へと移行する割合も多い。

 
 

その他、Retinoblastoma(網膜芽細胞腫)やBeckwith-Wiedemann症候群(BWS:ベックウィズ-ヴィーデマン症候群)などもゲノムインプリンティング異常症として知られており、これらの疾患もARTとの関連性が報告されています。

 
 

<参考HP>
難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp

 
 

WEBはこちら⇒http://mimuro-cl.com/

 

Facebookはこちら⇒https://www.facebook.com/mimurocl

 
 

関連記事

  1. 染色体・DNA・RNA

    ゲノムインプリンティングの意義とは?

    ゲノムインプリンティングは単為発生では起こり得ず、父親母親由来どちらの…

  2. 不妊治療基礎知識

    遺伝子発現に深く関わるエピジェネティクスとは?

    わたしたち人類に限らず、妊娠出産という過程を経ることで古代から現在まで…

  1. 不妊治療基礎知識

    卵巣と卵子についての基礎知識(6)〜排卵から黄体期まで
  2. 不妊治療

    不妊治療中の心理ケアについてのお話
  3. 不妊治療基礎知識

    卵巣刺激についての基礎知識(2)
  4. 不妊治療基礎知識

    遺伝子発現に深く関わるエピジェネティクスとは?
  5. 不妊治療基礎知識

    男性不妊についての基礎知識(5)
PAGE TOP