不妊治療

IUIおよびIVFを治療の第一選択とする場合、臨床的証拠を必要とすることを示した論文

経済的な側面、また臨床的な側面から考え現在まで示されている根拠によると、不妊治療の第一選択の治療法としてIUI(人工授精)を試みることが勧められます。そして、IVF(体外受精)やICSI(顕微授精)を試みる際には、一定のガイドラインや採用基準に関わる方針を決定する必要があります。

さらに、公的基金を用いた治療を実施する場合にまずIUI(人工授精)の実施を考えてみる必要があります。それによって、IVFを必要とする患者に対する支援も可能となります。

公的資金を用いて行う不妊治療には、第一選択の不妊治療としてIUIを勧めるべきであり、イギリス人におけるガイドラインであるNICEは、IUIによる治療法に対して従来の考えを見直す必要があります。

First line fertility treatment strategies regarding IUI and IVF require clinical evidence
G.Bahadur,R.Homburg,A.Muneer,P.Racich,T.Alangaden,A.Al-Habib,and S.Okolo
Hum Reprod.2016 Jun;31(6):1141-1146
【文献番号】r01100(ART総論、ART評価法)

ICSIはARTにおける分娩率の顕著な上昇をもたらした。今や、IVF/ICSIが他の治療法よりも勧められることが多い。

イギリス人におけるガイドラインであるNICEガイドラインは、IVFの方がIUIよりも優れているという勧告を発表している。

しかし、われわれはIUIの方がより患者に優しく、胚の貯蔵などの問題も回避することができ、広く応用できるという点において、IVFやICSIを行う場合にもそれぞれ選択的に考えその背景となる臨床的要因、経済的要因、倫理的な要因などにも考慮すべきである。医療費の基金などを考慮した戦略においては、IUIが治療の選択肢となると述べている。

6周期まではIUIを第一選択の治療法とするということは、それを必要としているカップルには最大3回までのIVFを認めるという考え方に伴う公的な費用の削減にもつながることである。

不妊クリニックは、ISO15189の認証基準も考慮し男性不妊の診断を下すべきであり、過剰診断を抑制する必要がある。重要なことは、IVF/ICSIをどのような症例に行うかということに対する世界的なガイドラインを作成する必要があるという点である。

公的資金を不妊治療に用いる場合には、倫理的にも健全な選択を下す必要がある。
参考:NICE(National Institute for Health Care Excellence)guideline
臨床の場において第一選択の不妊治療に関する情報には必ずしも一定しておらず、不妊治療の選択にはバイアスが存在する。第一選択の不妊治療に対して経済的な側面や臨床的な側面について考えてみる必要がある。イギリスにおける第一選択の不妊治療にかかわる因子として、NICEのガイドラインが強い影響を与えている。

NICEでは不妊治療においてIUIの意義は限られていると勧告している。しかし、NICEのガイドラインに対して極めて多数の懸念が示されている。

クリニックの調査では、NICEのIUIに対するガイドラインに対しその内容に問題を指摘し、拒否するクリニックも存在する。NICEのガイドラインは限られた研究のデータに基づいて作成されている。

イギリスにおける全国保健サービスの調査ではIUIの費用は周期あたり600ポンドであるが、IVFは2,300ポンドであると報告している。卵管の閉鎖の例や重度の男性不妊を除いて公的基金に基づく不妊治療にはまず6周期のIUIを試みることが勧められるべきである。

 

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