不妊治療基礎知識

卵巣刺激についての基礎知識(2)

前回は卵巣刺激の概要についてお伝えしましたので、引き続いてその種類と特徴について解説してまいります。

 

中でも、今回はGnRHアゴニスト製剤を用いる方法をご紹介します。

 

*  アゴニスト法
GnRHアゴニスト製剤の点鼻薬を使用する方法です。
点鼻薬が使えない場合は、注射を用いることもあります。

 

この方法にはロング法とショート法があります。
 
 

〜ロング法〜
37歳以下で卵巣機能に問題がない場合などは、基本的にこの方法を用います。
月経前周期から準備を始めることが特徴です。

 

1.採卵する月経前周期の高温期中期から点鼻薬を使用し始めます。
 この点鼻薬により、下垂体から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)およびLH(黄体化ホルモン)の分泌が抑制され、卵胞の発育や排卵が抑えられます。なお、点鼻薬はhCG製剤の投与まで続けます。

2.月経開始3日目からhMG製剤(ゴナドトロピン製剤)の連日投与を1週間ほど行って、卵胞を成熟させます。

3.hCG製剤を注射して排卵誘発をさせ、36時間ほど経ったところで採卵します。

 

メリット
・  準備期間を設けることで、FSHおよびLHの分泌を十分抑制することができるため、卵胞の均一な発育を促し、早発排卵を防ぐことができる
・  排卵日のコントロールがしやすい

デメリット
・  注射量が多くなる
・  卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になる可能性が高い
・  卵巣予備能が低い場合は、卵胞が育ちにくい

 

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〜ショート法〜
卵巣機能の低下がみられる場合や、年齢が高い場合に用いられる方法です。また、ロング法など他の方法が適さないときもショート法を選択することがあります。

 

1.採卵予定の月経開始と同時に点鼻薬を使い始め、FSHおよびLHの分泌を促して卵胞を育てます。なお、この投与はhCG製剤の投与まで続けます。

2.月経3日目以降はロング法と同じくhMG製剤の注射剤を連日投与した後、hCG製剤を投与して採卵します。

 

メリット
・  hMG製剤の使用期間が短いためコストが少なく、身体的負担も軽い
・  FSHやLHの大量分泌が期待出来る

 

デメリット
・ 卵巣予備能が低い場合は、卵胞発育の遅れや注射剤への感度低下がみられる
・ 卵子の質にばらつきが見られる
・  排卵をコントロールしにくい
・  OHSSになる可能性がある

 

ロング法とショート法は同じGnRHアゴニスト製剤を使いますが、採卵に至る過程は異なり、それぞれ特徴があります。

 

ショート法は、GnRHアゴニスト製剤の投与初期にFSHとLHが大量に分泌される、フレアーアップ現象を利用して卵胞の発育を促す方法です。対して、ロング法はGnRHアゴニスト製剤の長期投与によって引き起こされる、GnRH受容体の脱感作を利用した方法になります。ロング法では、脱感作により卵巣刺激がない状態となるため、注射剤による排卵コントロールが容易になることが特徴です。

 

次回は、これら以外の方法をご紹介する予定です。

 

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