前回は妊娠の成立についてお伝えしましたが、今回は妊娠時の異常について解説してまいります。
代表的なものを下記に記載致します。
<流産>
妊娠22週より前に妊娠が終わる事を指します。
12週未満での早い時期が多く、流産全体の約80%程度を占めています。
また、現在は経膣超音波の精度向上により流産が進行する前に診断可能であるため、出血が必ずしも流産に結びつくわけではありません。
<絨毛膜下血腫>
絨毛膜の下に血液が溜まることを指しいずれ自然吸収されることが多いのですが、場所によっては鮮血が大量に出血する場合もあります。
<子宮外妊娠>
受精卵が子宮以外の場所で着床してしまうことを指します。
現在は、技術の向上により子宮外妊娠が破裂する前に診断されることが多く、また腹腔鏡手術も発達して保存的な治療が可能となっています。
発生頻度としては妊娠全体の1-2%程度ですが、ARTにより子宮外妊娠の頻度が自然妊娠よりも高くなると言われています。
また、複数胚の移植により子宮内外同時妊娠の発生頻度が1-3%ほどあります。
<胎児奇形>
遺伝的要因と胎内環境的要因により発生します。
超音波検査等で出生前に病態を可能な限り把握することで、摘出方法や新生児への対応を検討する必要があります。
妊娠初期に超音波検査で確認可能なものは、無脳症、水頭症や心奇形などがあげられます。
<NT(nuchal translucency)>
妊娠10-14週に発生する胎児後頸部の皮下浮腫を指し、これが厚ければ厚いほど胎児に染色体異常がある可能性が高くなるとされています。
胎児の正中矢状断面で測定し、NTが3mm以上である場合は21番目の染色体が一本多いDown症候群やその他の染色体異常の確立が高くなっています。
しかしながら、NTの厚いものが全て染色体異常を抱えているわけではありませんので、注意が必要です。
<胞状奇胎>
近年では発生頻度が減少していますが、受精卵から胎盤のもとになる絨毛組織が正常に発育せずに嚢胞化することを指します。
これ自体は悪性腫瘍ではありませんが、のちに絨毛癌や侵入奇胎を発生する頻度が正常妊娠よりも高いため、子宮内から除去する事が必要です。
しかしながら、数%は子宮内で存続したり絨毛がんへと移行することがあるので、除去後の経過観察が重要となります。
<腫瘍合併>
大きく分けると卵巣腫瘍と充実性腫瘍に分類され、さらに卵巣腫瘍は良性、悪性、境界悪性の3つに分けられます。
腫瘍の9割近くを占める卵巣嚢腫は良性のことが多いのですが、充実性腫瘍の8割型が良性以外の腫瘍となっております。
みむろウィメンズクリニック
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