不妊治療基礎知識

AHについてのお話

受精後の胚は着床の時期に到達すると、卵の殻に相当する透明帯に亀裂ができ、ハッチング(孵化)します。

通常であればスムーズに行われるハッチングですが、加齢やARTによって透明帯が硬化し、着床に支障をきたすことがわかっています。

 

この状況を克服しようと予め、胚の透明帯に穴を開けたり、切開を行う処置を行うことがあります。ハッチングを補助することで着床率を向上させようとするこの処置は、孵化補助法assisted hatching(AH)といわれています。

 

今回は、このAHを取り上げて解説してまいります。

 

●AHの適応
・良好な胚を繰り返し移植しているにも関わらず、着床しない場合
・高年齢の場合
・凍結させた受精卵を融解して、胚移植を行う場合
・透明帯が厚い場合

 

●AHの種類
・透明帯切開法
AHとして、最初に考えられた方法。
マイクロピペットで胚の囲卵腔に向けて透明帯を穿刺し、固定用のピペットとこすり合わせるように切開していきます。

 

・酸性タイロード法
ph2.5の強酸性の液(酸性タイロード液)を吹きかけて、化学的に透明帯を溶解させる方法。

 

・レーザー孵化補助法
半導体レーザーを透明帯へ照射することを数回繰り返して、開口させる方法。

 

images-6

 

透明帯切開法は技術的に難しく、酸性タイロード法では症例ごとの透明帯の硬度具合に対応しにくいという欠点があげられます。
また、酸性タイロードが強酸性であるため、胚への影響も否めません。

 

対して、レーザー孵化補助法は煩雑な操作がなく短時間で処理することができます。
また、技術レベル差が出にくく、薬剤の影響もないため今後広く使われていく方法だと考えられています。

 

AHを行う際には、自然妊娠よりも多胎傾向にあることを考慮しなければなりません。
また、胚に対してのハッチングを促進させ、着床率の向上に寄与している報告はあるものの、出産まで検討した症例が少なく長期的な報告が望まれます。

 

そのため、AHの有効性とデメリットをよく考慮した上で手技を施すことが必要不可欠です。
 

WEBはこちら⇒http://mimuro-cl.com/

 

Facebookはこちら⇒https://www.facebook.com/mimurocl

 
 

関連記事

  1. 不妊治療基礎知識

    胚発生の過程についてのお話

    今回は実際に胚発生する際の過程を取り上げさせていただきます。<…

  2. 不妊治療基礎知識

    ARTの適応条件についてのお話

    現在、不妊症に悩むカップルは5組に1組とされ、年々増加しています。…

  3. 不妊治療基礎知識

    ARTについての基礎知識(3)〜卵子の数と排卵についてのお話

    前回までは、精子の立場から受精するまでをお伝えしましたが、今回は卵子の…

  4. 不妊治療基礎知識

    胚または配偶子移植についての基礎知識(1)

    ARTにおいて胚移植(ET)とは、妊娠を左右する重要な位置を占めます。…

  5. 不妊治療基礎知識

    甲状腺機能と不妊についてのお話

    甲状腺ホルモンをつくりだす甲状腺とは、喉仏の下、首の下の方にある小さな…

  6. 不妊治療基礎知識

    異常妊娠についての基礎知識(2)

    今回は、前回お伝えした異常妊娠のうち流産について取り上げて解説してまい…

  1. 不妊治療基礎知識

    近年における精子幹細胞の研究
  2. 不妊治療基礎知識

    GnRHについての基礎知識(1)
  3. 不妊治療基礎知識

    遺伝子発現に深く関わるエピジェネティクスとは?
  4. 不妊治療基礎知識

    ARTについての基礎知識(1)〜受精成立についてのお話
  5. 妊娠しやすいからだづくり

    おりものについてのお話
PAGE TOP