不妊治療基礎知識

ARTの適応条件についてのお話

現在、不妊症に悩むカップルは5組に1組とされ、年々増加しています。
それに伴ってARTによる出生も増えており、いまや約50人に1人が体外受精(IVF)または顕微受精(ICSI)で出生していると言われています。

 

IVFやICSIの適応となる疾患は当初、限られたものでした。
しかし、技術の発展により妊娠率の向上および適応の拡大が進み、以前よりも多くの不妊症に悩む人々を救っています。

 

ARTはいつどのような時でも着手できるわけではなく、実施には事前準備のみならず適応条件もあります。
今回はIVFとICSIそれぞれについて、実施できる条件について解説してまいります。

 

 

<体外受精(IVF)>

 

適応となる疾患
・卵管が閉塞している又は、子宮外妊娠などの理由により卵管を切除した場合
・精子の運動率が悪い又は数が少ない場合
・重度の子宮内膜症の場合
・排卵誘発剤などを用いた治療を行っても進展が見られない場合
・一般の不妊治療を行っても進展がみられない場合

 

そのほか、40歳を超えると卵子の数や質が低下し、IVFの成功を左右することになるため、年齢を勘案して妊娠を急ぐ場合にも実施されます。
IVFには医療費の増加や卵巣過剰刺激症候群などのリスクを伴うので、上記に示した場合以外は一般的な不妊治療を優先して行うべきです。

 

また、実施する場合においても十分な事前検査を行い、不妊因子があれば予め治療しておくことが成功への鍵となります。
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<ICSI>
適応となる疾患
・精液の中から運動率の良い精子を集めても、運動精子濃度が20万/ml以下となる重症乏精子症の場合
・精子の運動率が低い精子無力症の場合
・精子奇形率が95%以上の場合
・体外受精を実施しても受精障害を繰り返す場合
・精子に限りがある凍結精子を用いる場合
重要な点は、IVFでは妊娠の可能性が低い事例を対象としていることです。
また、ICSIは精子側に不妊事由がある際に行うことが特徴ですので、卵子側に問題があった場合は受精率に改善はみられません。
従って、精液所見が良好だった場合はIVFとICSIどちらを行っても受精率と妊娠率に差はないとされています。

 

ICSIにおいても一般不妊治療検査はもちろんのこと、精液検査や精子奇形率検査など詳細な事前検査は必要不可欠です。
いずれの方法にしても、有効性と安全性を十分に評価して行うことが前提であり、実施に際しては被実施者が婚姻していること及び遺伝子操作を行わないことも条件となっています。

 

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