不妊治療基礎知識

ARTについての基礎知識(10)〜顕微授精についてのお話

ARTには様々は種類がありますが、今回はそのうち顕微授精について解説してまいります。

 

顕微授精にはこれまで、PZD法やSUZI法と呼ばれ「透明帯と卵細胞麦の間に複数の精子を注入する方法」がありましたが、現在では1992年から始まった卵細胞質内精子注入法(ICSI)における妊娠率が高く主流になっているため、顕微授精といえばほぼ100%、ICSIのことを指します。

 

下記に適応や方法について詳しく述べていきます。

 

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<適応>

・  精液検査の結果、運動率やその濃度、奇形精子が多い場合

または、少ない場合において先に述べた項目全てについて異常がみられる場合

・  重症乏精子症や精子無力症、精子奇形症

また、閉塞性無精子症など精子採取が難しい症例や、運動精子が必要なだけ採取できない場合も適応となります。

 

<方法>

  1. 顕微授精は排卵当日に行い、十分に成熟した卵子を使用します。
  2. 顕微鏡下で精子の状態をよく観察し、運動性や形が良好で正常な精子を1個非常に細いガラス針に吸引します。
  3. 卵子に出来る限り損傷が少ないよう、慎重に針を卵子の細胞質中に注入します。

通常の受精においては精子間での淘汰が行われ、最終的に残った1個の精子が卵子と受精することになりますが、受精した精子が全て正常であるとも断定できず、30%程度に異常があるとされています。

 

一方ICSIでは、精子を人工的に選択し卵細胞質内へ注入するため、肉眼的には判別できない不良な精子が選択される可能性もあります。

また、通常の妊娠で踏むべきプロセスを省くことにもなります。

 

しかしながら、顕微授精で出生した場合において父性由来の遺伝欠陥が伝播される以外の遺伝的疾患について、通常妊娠より高くなるというデータは現在のところ確立しておりません。

まだ結論が出ていない部分も多く存在しますので、この方法は、今までの体外受精においても妊娠が難しかった症例へ適応するなど、不妊治療の最終段階のステップとされています。

 

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