不妊治療基礎知識

ARTについての基礎知識(11)〜顕微授精の歴史についてのお話

今回は少し視点を変えて、顕微授精の歴史について解説してまいります。

 

 

顕微授精の技術によってヒトの赤ちゃんが誕生してから20年ほどが経っていますが、その歴史はハムスターを用いた実験から始まっています。

 

1976年、UeharaとYanagimachiにより、ハムスターの未受精卵子内に直接ハムスターの精子核を顕微注入すると、通常の受精と同様に前核が安定的に形成されることを発見しました。

 

この研究を先駆けとして、その後、様々な研究がなされています。

 

 

ヒトにおいての研究は1988年にはCohenらPZDによる妊娠を、NgらがSUZI による妊娠例をそれぞれ報告し、正常な受精が確認されています。

さらに、1992年にはベルギーのPalermoらが世界で初めてICSIによる妊娠出産が報告され、その後は次々と妊娠出産が報告されています。

 

*PZD(partial zona dissection)

 

卵子の透明帯の一部を切り裂き、卵子内に精子を注入して精子を注入します。

頭部から酵素を出すことができない精子においても、受精が可能となり、機械的透明帯切開法とも呼ばれます。

 

*SUZI(subzonal sperm injection)

囲卵腔と呼ばれる卵細胞質と透明帯の間の部分に複数の精子を注入する方法です。

 

 

images-137

 

 

なお、このPalermoらの技術については、1個の精子でも受精できることから広く実施されるようになり、現在ではICSIが顕微授精の主流になっています。

 

 

 

日本においては、1994年に最初の分娩が報告されていますので、国内においては20年ほどの歴史となります。顕微授精でヒトが誕生してから23年ほどなので、次世代の妊娠出産については報告例がまだありません。

 

しかしながら、世界で初めてICSIによる妊娠出生を行ったベルギーのブリュッセル自由大学病院においては、責任をもって追跡調査が行われているそうです。

 

 

 

 

WEBはこちら⇒http://mimuro-cl.com/

 

Facebookはこちら⇒https://www.facebook.com/mimurocl

 

 

関連記事

  1. 不妊治療基礎知識

    卵巣と卵子についての基礎知識(7)〜不妊治療でよく聞く内分泌(ホルモン)のお話

    前回は、卵巣の周期的変化のうち排卵後の子宮の変化まで取り上げました。…

  2. 不妊治療基礎知識

    ARTについての基礎知識(10)〜顕微授精についてのお話

    ARTには様々は種類がありますが、今回はそのうち顕微授精について解説し…

  3. 不妊治療基礎知識

    AHについてのお話

    受精後の胚は着床の時期に到達すると、卵の殻に相当する透明帯に亀裂ができ…

  4. 不妊治療基礎知識

    甲状腺機能と不妊についてのお話

    甲状腺ホルモンをつくりだす甲状腺とは、喉仏の下、首の下の方にある小さな…

  5. 不妊治療基礎知識

    IVMについてのお話

    通常のARTでは、成熟した卵子を用いて治療を行います。しかし、未成熟な…

  6. 不妊治療基礎知識

    異常妊娠についての基礎知識(2)

    今回は、前回お伝えした異常妊娠のうち流産について取り上げて解説してまい…

  1. 妊娠しやすいからだづくり

    不妊治療を続けやすい環境作りについてのお話
  2. 不妊治療基礎知識

    再生医療の先駆け〜卵細胞質移植〜
  3. 培養室関係

    胚培養士についてのお話
  4. 不妊治療基礎知識

    男性不妊についての基礎知識(5)
  5. 不妊治療基礎知識

    ARTの適応条件についてのお話
PAGE TOP