不妊治療基礎知識

ARTについての基礎知識(12)〜精子の受精能についてのお話

前回は顕微授精についての歴史をご紹介いたしましたが、実際に顕微授精を行う際には様々な外的刺激を加える事になりますので、精子の受精能やその安定性については非常に興味深いところかと思います。

 

今回はそちらの部分について、解説してまいります。

まず、精子核タンパク自体の特徴を次に記載いたします。

<精子核タンパク・受精能の特徴>

・  父方の遺伝情報を子孫に伝える

・  他の細胞と比べて死滅しにくい

・  精子頭部は、細胞質が削ぎ落とされ「核/細胞質比」が極めて大きい

・  DNAを保護する核タンパクは、体細胞のヒストンに代わり

プロタミンに置換されている

◆  プロタミン

単純タンパク質に属する強塩基性タンパク質のことを指します。

ヒトのプロタミンにはシステイン、アルギニンなどのアミノ酸が多く、チオール基(-SH基)によるジスルフィド結合(SS結合)により、熱や酸・アルカリなどにも安定的な状態を保つことができています。

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精子が他の細胞と比較して安定的な受精能を持ち合せていることは先に述べさせていただきました。
では、精子がどの発生段階で受精能を獲得するのでしょうか。

この疑問については、マウスを持ちいて未熟な精子をICSIにて顕微注入をした研究がなされています。

この実験においては、精子細胞、第二精母細胞、第一精母細胞のそれぞれにおいて個体発生能が確認されました。

しかしながら、とりわけ第一精母細胞は精細胞の中で最も大型であるため、受精の進行には第一精母細胞核を2回減数分裂させる必要があり、工夫が必要であることも示唆されております。

さらに、先に述べた精細胞を顕微注入する際には、未熟であるがために下記の部分に注意する必要もあります。

◆  円形精子細胞より前の段階の核タンパクはヒストンであるため、SS結合が少なく強固な結合ではないため、様々な影響を受けやすい

◆  細胞膜を破壊した上で生殖細胞核のみ注入した場合は、中心小体への影響が考えられる

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