不妊治療基礎知識

ARTについての基礎知識(2)〜精子の受精能についてのお話

前回は精子が運動能を獲得するまでについてお伝えしましたが、今回は、実際に精子と卵子の融合について解説してまいります。

 

 

精子は卵胞液の刺激を受けると、受精能を獲得します。

このキャパシテーションといわれる過程を経た精子は、ハイパーアクチベーションを起こして卵管内を前進していきます。

 

 

◆  キャパシテーション

精子は十分な運動性を持っていても直ちに卵子へと侵入する事ができず、子宮腔内から卵管を移動する過程で受精能力を獲得していきます。

 

 

◆  ハイパーアクチベーション

精子の運動の型のことを指し、この運動は精子鞭毛の大きなうねりを特徴とします。

また、これは卵母細胞を取り囲む透明帯への精子の侵入を補助する役割があるとされます。

 

 

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精子は、キャパシテーションを通じて形態変化していますが、その後の先体反応でも大きく変化していきます。

 

 

*  先体反応

これは、精子が卵子の中へと侵入する際に必須の反応であり、受精の初期段階で最も重要な過程となります。

 

精子が卵子の表面に到達すると先体小胞の中身が分泌されます。

その後、精子細胞膜と先体外膜の部位で膜融合を起こし、先体に含まれる酵素などが放出されます。

 

このとき、精子は卵子の外側を包む透明帯を通過する際に、精子頭部からヒアルロニダーゼとアクロシンという酵素を放出します。

これらの酵素を放出する先体反応がない精子の場合には、顕微授精を行う必要があります。

 

 

 

先体反応を起こした精子は、先体に含まれるタンパク分解酵素群の融解作用により、透明帯に自らが通過出来る狭い通路を形成しながら前進し、卵子と透明帯の間に存在する囲卵腔に達します。

 

 

 

そして、精子は囲卵腔に到達すると運動を止め、卵子の微絨毛に捉えられて卵子細胞内に取り込まれます。

 

通常、卵管膨大部には複数の精子が到達するため、複数の精子が卵子の細胞膜と融合する可能性が生じますが、余剰の精子は表層反応により、透明帯で拒絶されます。

この現象は、多精子侵入阻止と呼ばれます。

 

多精子侵入阻止は1個の精子による受精をする重要な機能であり、どの受精においても必ず見られる現象でもあります。

 

 

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