前回までは、精子・卵子それぞれの立場からその発育についてお伝えしましたが、今回は実際に受精するまでに経る過程についてお話してまいります。
排卵された直後の卵子は、透明帯とその外側の放射冠と呼ばれる顆粒膜細胞によって取り囲まれています。
精子が卵子に接近すると、卵子の外側を包んでいる透明帯を通過することは以前お伝えしましたが、この透明帯の他に卵子の周りにある細胞を卵丘細胞といいます。
この透明帯は、先体反応により精子から放出されたヒアルロニダーゼとアクロシンによって融解されます。
また、これらの酵素は、透明帯も融解することで精子の卵子への侵入を手助けすることもわかっています。
◆ 透明帯
精子との相互作用において機能するのみならず、卵子形成および卵胞の発育にも重要な役割を果たしています。
また、受精後も着床まで胚を保護する役割もあります。
精子が透明帯を通過すると、卵細胞の細胞膜と精子の形質膜が癒合し、卵細胞の細胞膜と精子の形質膜内は一体となり卵細胞の中へと侵入します。
このとき、卵子に侵入する精子の数は、基本的に1個です。
また、精子の侵入に伴う反応を多精子侵入阻止反応といいます。
◆ 多精子侵入阻止反応
精子が卵子へと到達することで、卵子の表層顆粒の膜と卵子細胞膜が融合して活性化されます。
その後、内部に含まれる物質が卵細胞外に放出されることで卵表層多糖を変化させて透明帯にも変化をもたらし、他の精子の侵入を防ぎます。
また、それとともに、透明帯を硬化させます。
<減数分裂の再開>
上記のような精子と卵子細胞膜の融合により、第2減数分裂が再開し、以下の手順により反応していきます。
1)第2減数分裂が再開し、染色体が分離します。このことにより、卵子からの染色体の組み合わせが決定します。
2)半数の染色体が第2極体として囲卵腔に放出され、卵子側に残った半数の染色体は雌性前核となります。また、これは精子の前核形成と同期化して起こり、約12時間継続します。
3)雌雄両前核はDNAの複製に伴って細胞の中心へと移動し、融合します。
4)4倍体となった染色体は直ちに分離して、2細胞期胚となります。
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