不妊治療基礎知識

ARTについての基礎知識(5)〜胚培養についてのお話

ARTはどのような環境で行われているのでしょうか?

今回は、受精の仕組みなどからは一旦離れて、この点について解説してまいります。

 

ARTは実際に培養室に、胚培養士が行いますが、この培養室の環境こそが臨床成績を左右するといっても過言ではありません。

 

 

*  胚培養士:医療機関において、人工授精や顕微授精などの体外受精の操作を行う医療技術者のことを指します。多岐に渡る知識のみならず、高い倫理観も要求されます。

 

 

適切は環境を保つ事はもちろんのこと、業務などをスムーズに行うためには十分なスペースを確保する事が重要となります。

また、受精卵は温度変化にも大変敏感ですので、採卵した卵子を速やかに培養条件下へと移すための導線も考慮に入れる必要があります。

 

ARTを行う際には上記のような細やかな配慮とともに、日々進化する医学、特に生殖医療への十分な知識や技能が必須となります。

これらを確実に取得するため年1回、日本哺乳動物卵子学会による生殖補助医療胚培養士の認定試験が行われております。

また、様々な学会などへも定期参加することでも、胚培養士は知識や高い倫理観を維持しています。

 

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次に、それぞれの観点からARTを行う際の留意点をお伝え致します。

 

<空気清浄について>

・  培養室内は陽圧とし、空調には空気清浄用除菌ヘパフィルターの装着が望ましい。

・  フィルターの寿命を正しく把握し、性能劣化の前に交換する必要があります。

・  定期的に空気の清浄度を測定します。このとき、落下最近検査をする施設が多いですが、これは落下しない菌は測定できないため、浮遊細菌測定のほうが正確であるとされています。なお、検査においては、どのような種類の菌が検出されているかが重要となります。

・  培養室における埃のほとんどは胚培養しによるものなので、操作や衣服には注意が必要であり、場合によってはエアシャワーなどを導入も検討する必要があります。

・  清掃は少なくとも週1回は行うべきとされています。

 

 

<温度管理について>

・室温は体温に近い温度が適当であるが、胚培養士の作業環境にも配慮する必要があります。胚凍結における耐凍剤の浸透速度は25℃前後で最適な速度になると考えられることを鑑みると、快適な温度は20-25℃です。

 

・  培養室は利便性のよい場所にあるべきではあるが必ずしも採卵室に隣接する必要はありません。

・  あまりに距離がある場合は、配偶子や胚の温度及びpHを保つ適切な手段を講じる必要があります。

 

 

<機器類の配置について>

卵子や胚が外気に触れる時間を出来る限り短くなるように配置し、胚培養同士の接触による事故を予防するため、できる限り広いスペースを取ることが望まれます。

 

 

<照明について>

可視光に曝すと活性酸素が蓄積し、胚の発育能が低下するというマウスのデータ及び、精子・卵子は光があたらないところに存在していることから、培養室の照明は操作に支障のない程度の明るさに低減することが望ましい。

 

 

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