不妊治療基礎知識

ARTと多胎の関係について

これまで不妊治療をめぐる各種技術やその背景などを、様々な角度からご紹介してまいりました。

 

初めて、臨床において体外受精が行われたその日から現在に至るまで、生殖医療は目覚ましい発展を遂げています。ですが当初は、手技はもちろんのこと妊娠出産を支える器械についてもまだ発展途上の段階でした。

 

当然、妊娠率は停滞し、不妊治療を施す方も施される方もヤキモキする日々が続いていきます。

 

そして何より、配偶子や受精卵の凍結保存法も確立していなかった時代では、採卵を通じて得た卵をそのまま保存しておくわけにもいかず、妊娠成立への想いを込めて複数個体内へ戻していました。
せっかく苦労して採卵しても、移植しなければ徒労に終わってしまいますから。

 

しかしながら、この手法を用いることで多胎に至る割合は上昇することになります。
それでも子供を授かればいいという考えもありますが、多胎では胎児の障害発生の確立も高く、母体が危険にさらされることも有り得るのです。

 

多胎の場合に考えられる危険性
・脳性小児麻痺や神経異常など、胎児に関わる障害の発生割合が高くなる
・未熟児で産まれる可能性が高い
・切迫早産や早産となる割合が高い
・妊娠高血圧症候群になりやすい
・第一子が通常分娩であっても、状態によってはそれ以降に帝王切開へと切り替わる場合がある

 

このように多胎は母子共に非常にリスクが高い出産です。さらにデメリットはそれだけに留まらず、最悪のケースでは胎児が死亡して出産まで至らないこともあります。

 
多胎2
 

このような事態を避けるため、日本産婦人科学会では2007年ある会告を出します。
その背景には単なるリスク回避だけではなく、劇的に変化した生殖医療技術の向上も考慮されています。言い換えれば、胎児を複数個同時に移植しなくとも妊娠率の低下にはつながらないとの考えが根底に流れているのです。

 

会告では、原則として移植する胚は1個とされています。ですが、女性側の年齢が35歳以上や、2回以上続けて妊娠に至らなかった場合などについては2つの胚を戻すことを許容するなど、柔軟性をもたせていることが特長です。

 

これ以降、リスクを抱えた出産は減少することとなりました。

 

しかし、場合によっては1個の受精卵だけ移植しても多胎となる可能性もあります。これはどの発生段階で胚移植を行うのかなど、色々な要素があるとされており多胎の可能性を完全に排除することは困難です。
従って、多胎となったときは危機的状況にならないよう、母体の管理などに気を配っていくことが大切です。

 

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