不妊治療基礎知識

卵巣予備能についてのお話

ARTの成績に影響を及ぼすものは多々ありますが、今回はそのうち“卵巣予備能”について解説してまいります。

卵巣予備能とは、卵巣自体がもつ卵巣機能の潜在的な予備力のことを指し、妊娠出産の重要な指標となります。

 

<卵巣予備能を評価するメリット>

・  ARTの成績を予想することができ、予め患者にインフォームドコンセントが可能となる。

・  各々に最も適した不妊治療を行うことが出来、採卵のキャンセル率やOHSSの発症頻度が低くなる。

 

*  OHSS(卵巣過剰刺激症候群)

卵胞が過剰に刺激されることで、卵巣が腫れて腹痛や腹水などの症状が出ることを指します。

 

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<卵巣予備能を評価するポイント>

◆ 年齢

最近では良く知られるようになってきましたが、女性の年齢上昇に伴って卵巣予備能も低下します。

実際には、30歳未満では26%ほどですが、年齢と共に妊娠率は下がり40歳を超えると16%ほどになります。

また着床率についても、40歳以上の場合は30歳未満と比較してその半分です。

 

 

◆ E2(エストラジオール)

E2とは子宮内膜を厚くして着床する環境を整えたり、子宮頚管粘液を分泌させる働きをするホルモンであり、エストロゲンに含まれる成分の中で最も活性が高いものになります。

このホルモンは通常、月経後から徐々に増えますが、月経1-3日目に上昇することで生理周期が短くなったり、排卵が早まります。

 

ARTを行う際には排卵のタイミングもコントロールが必要であり、早期にE2・が上昇することは妊娠・着床に影響を及ぼします。

 

◆ FSH(卵胞刺激ホルモン)

FSHは下垂体から分泌され、卵巣を刺激するホルモンになります。

先に述べたように年齢と共に卵巣予備能は低下するため、それを補おうとより多くのFSHが放出されることになります。

そのため、FSHの値が上がるにつれて卵巣予備能は低くなるという関係になります。

また、無排卵、不規則な月経周期の症例でもFSHが上がることがわかっています。

 

◆ 卵巣容積(Ovarian volume

卵巣容積が大きいほど、妊娠率が高く、キャンセル率が低くなります。

Ovarian volumeは経膣超音波検査によって測定可能です。

 

◆ 胞状卵胞数

成熟した卵胞である胞状卵胞 (antral follicle)の数が多ければ、採卵することができる数が増えることになります。

そして、この採卵数は簡単に調べることができ、卵巣刺激の方法にも深く関係することになります。

そのため、排卵誘発剤を使用する直前に胞状卵胞数を測定することでその後の治療の方向性を決めるのです。

 

◆ AMH(抗ミューラー管ホルモン)

卵巣内にある発育過程の卵胞から分泌されているホルモンであり、月経周期や薬剤による影響はほとんど受けません。

そのため、AMHの値を測定することで、原始卵胞からの発育状況を調べる事ができ、卵巣内にある卵子の数を予測する事が出来ます。

つまり、AMHの値が低いということは卵子の在庫が少ないため、卵巣の予備能力が低下していることを意味します。

 

 

 

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