不妊治療基礎知識

卵巣と卵子についての基礎知識(4)~卵巣から分泌されるホルモン

<卵巣から分泌されるホルモン>

 

今回は卵巣から分泌されるホルモンについて解説をしてまいります。

前回解説をしました下垂体から分泌されたゴナドトロピンの作用を受けて、卵巣の卵胞や黄体から性ステロイドホルモンが産生されます。

 

これらのステロイドホルモンは血中に分泌されると、結合タンパクと結合した結合型と、結合していない遊離型の2種類となります。遊離型は細胞内に入り、核内にある受容体と結合し、機能を発現します。

 

1)エストロゲン

エストロゲン(米: Estrogen, 英: Oestrogen, 独: Estrogene)は、ステロイドホルモンの一種。一般に卵胞ホルモン、または女性ホルモンとも呼ばれます。

 

エストロゲンにはエストロン estrone (E1), エストラジオール estradiol (E2), エストリオール estriol (E3) の3種類があり、エストラジオールが最も活性が高く、エストリオールは最終代謝産物です。

 

卵巣でのエストロゲン産生は、莢膜細胞でコレステロールを前駆物質として開始し、 LH の作用でアンドロゲンが合成され、それが顆粒膜細胞に移動し、 FSH の作用下にアロマターゼにより芳香化を受け、エストロゲンが産生される。これをエストロゲンの2細胞説 (two cell, two gonadotropin theory )といいます。

 

エストロゲンの作用は下記の通りです。

●膣に対する作用:膣上皮の増殖、多層化。表皮の角化作用。

●子宮に対する作用:子宮頸管粘液の増加、粘度の低下。子宮内膜の増殖。子宮筋の肥大・増殖。オキシトシンに対する感受性の亢進。

●視床下部−下垂体に対する作用:ポジティブフィードバック作用およびネガティブフィードバック作用。

 

異常な場合に疑われる病気

エストロゲン

高値…エストロゲン産生腫瘍、先天性副腎酵素欠損症など

低値…卵巣機能不全、黄体機能不全など

 

ランソウ1

 

2)プロゲステロン

プロゲステロンとは、黄体期(月経周期でいうと排卵後の期間、基礎体温でいう高温期)に分泌される女性ホルモンで、別名、「黄体ホルモン」と呼ばれる妊娠に深く関わるステロイドホルモンです。

 

排卵後に卵胞が黄体化すると、黄体からプロゲステロンが分泌されます。黄体では 3β—ヒドロキシステロイド—デヒドロゲナーゼ活性が高く、大量のプロゲステロンを分泌します。

 

プロゲステロンの作用は下記の通りです。

●視床下部にある温熱中枢を刺激して体温を上昇させる。

●子宮内膜に対しては、分泌期像に変化させる。

 

異常な場合に疑われる病気

高値…先天性副腎過形成、クッシング症候群、副腎がんなど

低値…卵巣機能不全、黄体機能不全など

 

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