前回は、卵巣の周期的変化のうち排卵後の子宮の変化まで取り上げました。
今回は、実際に妊娠したいと思った時に、よく耳にする内分泌(ホルモン)について解説してまいります。
従来、卵巣の予備能の指標として“血中FSH基礎値”や“血中インヒビンβ基礎値”が重宝されてきました。
しかしながら近年、それらに代わり、より早期にかつ鋭敏に卵巣予備能の変化を評価できる指標として“抗ミュラー管ホルモン(AMH)”が注目されています。
◆抗ミュラー管ホルモン(AMH)
発育過程にある前胞状卵胞および小胞状卵胞の顆粒膜細胞より分泌されるホルモンです。
加齢による前および小胞状卵胞の減少に伴い、その血中濃度が低下することが特徴になります。
つまりは、AMHの値が高ければ前および小胞状卵胞を多く持つことになります。また、年齢を重ねて数が減少することに伴いAMHの値が低くなる傾向にあるため、卵巣の予備能の目安になるとされているのです。
AMHの特徴は次の通りです。
・加齢に伴い、最も早い時期から低下する
・性周期(月経周期)の影響を受けにくく、発育卵胞数と相関する
・AMH値には個人差が大きい
・血液検査で測定可能である
AMH値がそのまま妊娠率を示すわけではありませんが、測定することで下記の発症の予測が可能であるため、不妊治療において非常に有用な検査となります。
●排卵誘発剤に対する反応性
●卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発症
〜卵巣過剰刺激症候群とは〜
卵巣内の卵胞が過剰な刺激によって通常3〜4cmの卵巣内の卵巣が腫れ、腹水貯留などを引き起こします。
AMH高値となる場合は、下記の疾患の可能性も考えられます。
*不妊症
*卵巣機能不全
*早期卵巣不全
*多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
〜多嚢胞性卵巣症候群とは〜
原因は特定されていませんが排卵期が近づいても卵胞が発育せず、卵巣の中に小さな卵胞がたくさんある状態です。これにより排卵障害を起こし、不妊や無月経になる可能性があります。
AMHが示すのはあくまで卵子の在庫であって、その質を示すわけではありません。
値がゼロに限りなく近かったとしても、そのまま妊娠の可能性を示すわけではなく治療に使える卵子の数が少ないということですので、そのチャンスを生かすことで妊娠へと導く事が出来ます。
みむろウィメンズクリニック
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