前回までは、精巣と精子についてお伝えしましたが、今回は妊娠の成立について解説してまいります。
妊娠の定義は、下記とされています。
「受精卵の着床から始まり、胎芽または胎児および付属物の排出をもって終了するまでの状態」
子宮内において、子宮内膜が次第に厚みを増して柔らかくなることで受精卵を迎える準備を整えます。
そして、排卵された卵子は卵管へと取り込まれ、ここで精子と受精し、受精卵となります。
受精卵は細胞分裂を繰り返して分割して「胚」となり、さらに分割しながら数日かけて卵管内を移動して子宮へとたどりつきます。
胚は子宮へとたどりつくと、子宮内膜の中へもぐりこみ子宮へと着床します。
このように、妊娠するまでには排卵、受精、分割、着床という過程を経る必要があり、いずれかが欠けても妊娠は成立しません。
また、妊娠が成立した場合においても、その後の経過によっては流産してしまう可能性もあります。
流産とは、妊娠22週未満の妊娠中絶を指しますが、下記にいくつか代表的な流産の種類を列挙します。
◆早期流産:妊娠12週未満
◆後期流産:妊娠12週以降、22週未満の流産
◆切迫流産:流産が始まろうとする状態
◆習慣性流産:連続3回以上、自然流産を繰り返す状態
妊娠が成立するとhCG(絨毛性性線刺激ホルモン)により、妊娠反応が陽性となります。
現在は、市販の妊娠検査薬も感度が高くなっているため、病医院の尿検査によるものと精度は同等といわれています。
●hCG(絨毛性性腺刺激ホルモン)
妊娠が成立すると、急激に分泌される糖タンパク質であり、尿中や血中から検出されます。
妊娠週数が進むにつれて濃度が高くなっていきますが、妊娠10週前後をピークにその後は減少していきます。
卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌を促す作用があり、不妊治療においてhCG注射が使われることもあります。
妊娠が確認された後に行われる検査として経膣超音波を使ったものがあります。
これは、体内に超音波を送り、跳ね返ってくる反射波を捉えることによって体内の情報を画像化する仕組みになっています。
この検査で観察することのできるものは
・子宮筋腫のおおまかな位置
・子宮全体の大きさ
・卵巣の状況
・胎盤と胎児の状態
・多胎の有無
検査方法には2種類あり、腹部にプローブをあてる「経腹法」と膣内部にプローブをあてる「経膣法」があります。
そのうち妊娠12週くらいまでの初期においては経膣法による検査となり、胎嚢gestational sac (GS)を確認後、胎芽及び胎児の心拍を確認していきます。
◆プローブ:超音波を発し、かつその反射波をキャッチする探触子
妊娠が確定した後は分娩予定日を決定しますが、これは
妊娠8〜11週の矢状断での頭臀長 crown-rump length (CRL) が最も信頼度が高いため、わかればこれを最優先します。
みむろウィメンズクリニック
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