ほんの2、3年前に風疹が流行したことは記憶に新しいところです。
メディアでも多くの特集が組まれていたのでご存知の方も多いかもしれませんが、風疹の抗体がない妊婦さんは罹患に注意を払う必要があります。なぜなら、風疹ウイルスは胎盤を通じて胎児の感染を招き、重大な疾患の発症を引き起こす可能性を孕んでいるからです。
今回は、まさに不妊治療中の方も、これから予定されている方も是非、再認識してほしい風疹についてお話してまいります。
●風疹とはどのような疾患なのでしょうか。
ウイルスが原因となってもたらされる病気であり、発熱や頭痛、リンパ節の腫れや発疹が主な症状です。
たいていは数日のうちに治りますが、成人してから罹患すると症状はさらに重くなります。
●妊娠中に罹患すると、どのような影響があるのでしょうか。
胎児が風疹に感染することで、先天性心疾患や難聴、白内障といった障害を抱える可能性があります。また、身体的および精神的発育遅延や網膜症、糖尿病などを発症することもあります。
このように風疹によって引き起こされる疾患は様々な症状がありますが、総括して先天性風疹症候群と呼ばれています。
では、いつでも同じ割合で感染し、発症するのかというとそうではありません。特に気をつけていただきたいのが妊娠初期であり、この時期に感染することで発症率は格段に増加します。
●妊娠してからでは遅い風疹ワクチン
妊娠中は当然ですが、風疹ワクチンを接種することができません。また、妊娠前だったとしても、接種してから2、3ヶ月間は妊娠を控えなければいけません。
実際に、妊娠後の血液検査で抗体がないことが判明したという事例もありますので、不妊治療を始める前はもとより、遅くとも妊娠を意識した時点で抗体のチェックをしておきましょう。
●風疹ワクチンを接種していない空白の年代
風疹ワクチンは乳幼児のころに実施済みの方が多いと思いますが、実は、接種していない空白の世代が存在します。
なぜそういったことが起こっているのかというと、風疹ワクチンが始まった当初は中学生の女子に限定して実施されていたのですが、その後、乳幼児期への接種へと時期が変更になりました。このとき、男子も同時に接種することになったのですが、ちょうどこの移行期に重なった児童は未実施となってしまいました。
これがちょうど、現在の30〜40代の男性にあたるのです。
未実施を受けて、自主的に接種または罹患していなければ抗体はないことになります。
この問題について、自分は男性だからと放置していてはいけません。
抗体がなければ流行のきっかけを作ることにもなりますし、何よりパートナーへの罹患の後押しをしてしまうからです。
ちなみに、風疹抗体はワクチンを接種したとしても、後に消失してしまうこともあります。ですから、やはり不妊治療を始める以前のチェックは必ずしておきたいところです。
<参照HP>
厚生労働省
風しん・先天性風しん症候群とは?
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/vaccination/about.html
WEBはこちら⇒http://mimuro-cl.com/
Facebookはこちら⇒https://www.facebook.com/mimurocl