不妊治療はゴールが見えず、時に長い道のりを歩むことになります。そのため、そこにかかる時間や労力、金銭は事前に予測することは難しく、次第に疲弊して気持ちが沈んでいくことも少なくありません。
その原因は、男女ともに同じくらいの割合だと言われています。とはいえ、実際に治療を開始した場合、頻繁に通院する必要があるのは女性側ですよね。そのため、仕事をしているのであれば、時間の調整がつかずに退職という選択肢を選ばざるを得ないことだってあり得るのです。
優秀な人材であれば、従業員を失うことは企業にとっても大きな損失です。そのような事態を少しでも回避できるよう、企業側でも金銭的、時間的なバックアップをしようという動きが徐々に広まりつつあります。
例えば、トヨタ自動車では2016年の4月から体外受精や顕微受精、そして男性不妊治療に対する助成の実施を既に始めています。国や自治体の補助内容に準じたものであり、こちらには年齢や所得制限がないことがポイントです。
また、同じくトヨタ自動車では2017年より不妊治療にかかわる休暇制度を導入することも公表しています。同じような制度はパナソニックやオムロンといった大手企業でも既に取り入れられ、実際の運用を開始しています。
不妊治療のための通院であれば、丸一日お休みする必要はないことが殆どです。病院へ寄ってから出社する、または残業はせずに定時で上がることができる、そんなほんの少しだけ時間を融通するだけでも治療を続けられるようになるのです。
心身共に負担のかかる不妊治療に対して、企業がこのように前向きな姿勢をとってくれることは素晴らしいことです。ですが、制度は作るだけでは意味がありません。それを使いたいと思う従業員や周りの理解、そして上司のサポートがあってこそ初めて運用できるものですので、制度を継続していけるような社内の風潮や体制も整えていくことも大切です。
また、このような助成や休暇はできるだけ多くの企業に導入して欲しいと思うものの、やはり中小企業では難しい側面も多く抱えています。一人欠けてしまうだけで業務が停滞してしまうことだってあるでしょう。
そういった方々に対しても、社会全体としてどのようなサポートをしていけるのかということも、今後考えていかなくてはいけない課題ではないでしょうか。
<参考>
トヨタ自動車健康保険組合 特定不妊治療に対する給付
http://www.toyotakenpo.jp/provision/inspection/infertility_treatment/
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