男性不妊の基礎知識(精子に関わる疾患)

生殖可能な年齢のカップルが通常の性行為を継続しているにも関わらず、一定期間が過ぎても妊娠に至らない場合を不妊症とし、男性側に原因があるものを男性不妊症といいます。

男性不妊は不妊原因の3分の1を占めると言われており、その数はすくなくありません。

そこで、男性不妊かどうかを調べるために必要なのは、まず「精液検査」を受ける事です。この検査は痛くもかゆくもなく、すぐに実行できる検査なので、むしろ女性の検査よりも早く受けた方が良いです。

男性不妊の場合、精液検査で分かる事が多く重要です。精子の数、運動率、受精するかどうかなど明確にかつスピーディに判定できます。

最近は不妊治療を開始される時にご夫婦一緒に来られて検査を受けられるケースが多いですが、それは非常に理にかなっています。女性だけが先に検査を受ける場合もよく見られますが、出来ればそのあたりは夫婦で合意を取られてほぼ同時にされた方が良いです。

さて、男性不妊の主な症状を解説します。

主な症状別解説

  1. 乏精子症

    精子の濃度が著しく低いものを乏精子症と言います。

    1000万/1ml以下だと乏精子症と診断されます。しかし、体調や環境によりばらつきが非常に大きいため、結果が悪い場合は複数回の検査を行い、確認を行う事になります。
    乏精子症の場合、造精機能障害が疑われます。なお、精液自体の分量が少ない場合には性腺機能障害及び各種射精障害が疑われます。
    治療としては、2000万~3000万/ml以下であれば人工授精、300万/ml以下であれば体外受精、100万/ml以下であれば顕微授精の適応になります。

  2. 無精子症

    精液に精子を全く認めないものを無精子症と言います。

    男性不妊症の10%~20%に見られる症状です。また、無精子症患者の10%程度はクラインフェルター症候群(男性の性染色体にX染色体が一つ以上多いことで生じる一連の症候群)です。
    精子が形成されているにも関わらず何らかの問題により尿道外部より射精されないものを閉塞性無精子症と言います。
    無精子症の1/3程度は閉塞性である。原因としては先天的な精管欠損症が10%~20%で、この場合には精嚢の形成障害が同時に見られることも多く、慎重な検査を要します。
    後天的な要因として、下腹部に対する手術の副作用や外傷、炎症などによってこの症状が現れる例があります。典型的には幼少期の外鼠径ヘルニア手術の際の不手際やパイプカットの復旧がうまく行われなかったケースなどがあります。
    精子の造精に問題があるものを非閉塞性無精子症といい、この症状が見られる場合、造精機能障害が疑われます。

  3. 精子無力症

    総運動精子40%以上あるいは、前進運動精子32%以上(当院では前進運動精子を基準)のものを言います。

    しかしばらつきが大きいため、診断には複数回の検査を要する。
    抗精子抗体も精子無力症の原因の一つと言われています。
    治療は体外受精・顕微授精が適応となります。

  4. 精索静脈瘤

    精索静脈瘤は精巣の静脈にお腹から血液が逆流して、瘤状にふくれるもので、正常男性の15%、男性不妊症の患者さんの40%にみられるとされています。

    精巣の静脈には左右で違いがあるため、右側より左側にみられることが多いですが、左右両方にあることもあります。
    精索静脈瘤があると、お腹から逆流した温かい血液が精巣(睾丸)の温度を上昇させ、精子を作る働きに悪影響をおよぼすと考えられていますが、そのメカニズムについてはまだ完全には解明されていません。

検査・診断

診断は視診、触診と超音波検査で行います。

治療について

精索静脈瘤の治療には手術と経皮的静脈塞栓術(静脈内に細いチューブを入れ、そこから詰め物をして血液の逆流を止める方法)があります。

精子の所見が非常に悪く、手術を行った方が良い場合、提携している泌尿器科の不妊専門クリニックをご紹介させて頂いております。

また、不妊治療においては精索静脈瘤と診断されても精液所見が悪くなく、痛みなどの自覚症状がない場合は不妊治療そのものの方を優先することになります。

精子検査の動画

悪い状況の精子所見の動画

良い状況の精子所見の動画


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