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脳の下垂体腫瘍(プロラクチノーマ) |
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この中で最も気をつけなければならないのが、この下垂体腫瘍です。別名プロラクチノーマとも言い、脳の下垂体にプロラクチンを作る腫瘍が出来てしまい、そこからプロラクチンが大量に産生されるために起きる病気です。
20〜30代の女性に多く、男女比はおよそ1:8。腫瘍は良性で、悪性であることは極めて稀です。自覚症状としては乳汁が出る他にも、頭痛やめまい、そして視野の狭窄が起きるのが特徴的です。
治療方法としては、大きい腫瘍には手術が必要となりますが、基本的には薬物療法がメインとなります。使われる薬剤としては、パーロデル(ブロモクリプチン)、テルロン(テルグリド)、カバサール(カベルゴリン)があり、基本的にはパーロデルが標準薬となります。
しかし、これらの薬には「吐気」という特徴的な副作用があります。テルロンはパーロデルと比較すると吐気の副作用が軽減されていますし、パーロデル、テルロンが毎日の服用する必要性があるのに対し、カバサールは週1〜2回の服用で済みます。よって、医師と十分に相談し、自分に合った治療法を選択することが大切です。
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2) |
内分泌疾患 |
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プロラクチンの分泌は、脳の視床下部という所でコントロールされています。この視床下部に腫瘍ができたり、また、ストレスなどが原因でホルモン分泌を上手くコントロールできなくなり、プロラクチンを異常に分泌してしまうのです。また、視床下部の小さな機能異常が原因の場合、日中はプロラクチンが高くなくても夜間に高くなる潜在性高プロラクチン血症という病態となることもあります。
治療方法としては、腫瘍が原因の場合は腫瘍に対する治療を行います。
腫瘍などが原因でない場合は、下垂体腫瘍の時と同様のドーパミン製剤(パーロデル、テルロン、カバサール)でプロラクチンの分泌量を低下させる治療を行います。
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3) |
薬剤による高プロラクチン血症 |
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原因となる薬剤としては、ピル、胃潰瘍の治療薬、抗うつ剤、降圧剤などの薬を長期間服用することにより、ホルモンバランスが乱れて高プロラクチン血症となる場合があります。
治療方法としては、薬の服用が原因のため、原因となる薬をやめるか、それに代わる薬剤へ変更すれば元に戻ります。それでもプロラクチンが減らない場合は、薬の量を減らしたりドパミン製剤を処方したりもします。
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4) |
その他 |
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その他にも、下垂体性の甲状腺機能低下症や中絶、流産といった原因で、高プロラクチン血症になる場合もあります。 |